201610/21Fri

認知症カフェぬくいきた! 

「認知症カフェぬくいきた」
UPTREEは、小金井市内2ケ所「認知症カフェ」を開催しています。
この「認知症カフェぬくいきた」は、公民館との共催型の活動です。

大切なのは、おもてなしということで、前回までは、学芸大学から研修にきていた、
絵が大好きな女性がホワイトボードに、絵を描いてくれていたのですが、
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その子の研修が終わって、もう来ないので、わたしが、認知症カフェ、ぬくいきた、と、
絵文字&お地蔵さんの絵などで、おもてなし。
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ここぬくいきたは、囲碁とマージャンが人気。
超初心者の70代のおばさま方が、マージャンにいそしむ姿が、楽しそう。
メンバーの中で、役や点数のことがわかるのは、89歳のおじいさまだけだが、
まあ点数などはご愛敬で、並べ方や上がり方がなんとかわかれば、それでいいのだ。その89歳のFさん、一見、耳が遠くて、杖をつき、お元気そうでない感じ。しかし、お昼のとき、隣でお味噌汁をすすりながら、話しかけたら、
ああ、わたしもこんな感じのおじいさまになれたらいいな、と思えるほど。よく耳を澄ますと、澄んだいい声。
心のきれいさが、伝わってくる。おさない頃から、本が好きで、読んでも読まなくても、枕元に本が積んでないと、
眠れなかったらしい。本が積んであるだけで、安心して眠れるのだそうだ。それは、89歳になられた今も、変わらない、と。決してべらべらしゃべるタイプではないが、いろいろな話をきかせてくださった。
科学、自然が好きで、仲間と2000メートル級の登山に勤しまれたこと、戦争がなければ、天文台や、NTTの研究職などに、お勤めなさりたかったらしいが、戦後の困難の中で、そういうことも言えなかった、と。
いかにも研究者という風情で、威圧感がまるでなく、ムーミン谷に住む、植物学者のよう。

だから、戦争を憎んでいる、と。

ただ、ひとつ間違えれば、原爆など、そういう兵器を開発する側に立っていた、
そういうこともありえたわけで、そういうことに携わらなくて、

本当によかった、と。

さらに、100歳以上生きたら、皆既日食が見られるとか、火星にも行ける。ただし、行き来に時間がかかるので、
わたしの年齢じゃ、火星に行ったとしたら、火星で骨を埋めることになるが、それでもいい、と。
そういう話を、まさに、ノーベル賞受賞の、研究者のように、とつとつと話してくださった。
こんな話をしても、女房は、わかってはくれないのです、と。
マージャンの時も、唯一ルールを全部わかっていて、年老いたつぶやきシローのように、さりげなくリード。
わたしは昭和2年生まれの、Fさんの存在に、すっかり魅了されてしまいました。
本当に、人は話してみないとわからないし、おひとりおひとり歴史があるなあ、
人生があるなあ、とつくづく。それと、奥さまが認知症のIさんは、認知症の奥さまともども来られ、ともに囲碁が達者。
さりげなく奥さまの所作などを感じていたのですが、
小金井市から認知症カフェぬくいきたに、小金井市派遣研修(入社後4年以内の職員がNPOへ派遣され研修)に来られた、
20代の青年も、一緒に囲碁を打ちながら、奥さまが認知症とは気づかれなかったよう。
その囲碁を打たれた、認知症の奥さまが、いつもいる、あの髪を紫に染めたおばさんは、いないの?
という言葉。人呼んで、パープルNさんは、本日はお休み。土曜日の認知症カフェ・おれんじにも来てくれている人。
すごく気遣いがありながら、本音でぼんぼんしゃべる。しかも、心からのハグが、なんともいい、人気のパープルNさん。
ちゃんと、ご自分が大好きな、心打ち解ける人のこと、忘れてはいないのだ。
いつも思うのは、

認知症という症状がある方こそ一層、周囲の人の気持ちに敏感なのだなあ、ということ。
その認知症の奥さまの囲碁の打ち方も、ダイナミックで、心置きなく迷いがない。
パープルNさんも、よどみなく本音でズバズバ。やはり、人は自分と似たようなリズムに惹かれるところも、あるようですね。
夫婦のように、全く違う雰囲気の人に惹かれる場合も、もちろんありますが。
本日の認知症カフェ・ぬくいきた(小金井市)には、小金井市の若きふたりの職員も、研修として参加されました。

こういう居場所が、ささやかにでも営まれていることに、しみじみ、良いなと感じつつ、
まるで9月の陽気の中、10月20日の、認知症カフェ・ぬくいきた、本日はおしまい。
次回は、11月7日、月曜日です。
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認知症カフェおれんじ店長:ゆう屋。

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